ここのうどんは生きている
※ゴールデンウィークに行くところがなくさびしい思いをしている人、もし暇を持て余してどうしてもやることが無かったら、読み物としてどうぞ
※多分にきたない内容を含むのでエンターテイメントにできるひとだけ
23時すぎまで残業していた4月のある日、トイレでふとウ○コを見たら、なんかうどんっぽいものが刺さっていたのだ。消化不良だろうか、というかそもそも論として
「48時間以内にうどん食べたか?」
と思って10秒ぐらい見つめていたら、うどんがウ○コに吸い込まれていくではないか
「ウ○コが生きている」
いや冷静に考えて、ウ○コが生きているはずがないので、動いたのは相対的に、うどんということになる。半ばパニックになって流してしまい、千代田線の赤坂駅のホームで青ざめて、ウ○コの話をしても引かないでくれるだろう長年の友人に電話したら
「もうお前の家にはいかない」
と言われてしまったので、医学部に行った別の友人に、119番とか呼んだほがいいか相談をしたところ
「救急外来は命にかかわらなければ帰らされてしまう」
と冷静な助言をもらった。その夜はほぼ寝られず、早朝からやっている外来を探して、東京医科大学病院に行ってみた
「今日はどうされましたか?」
総合受付のおばさんに、虫が出ましたと伝えると表情がかわってどこかに電話をされる。感染症科を案内された
「写真とりました?」
まず医者にそう聞かれ、怖くなって流してしまった旨を伝えると、そうですよねとフォローされ、その場で寄生虫の写真の一覧みたいなものを広げられて
「どれに似てました?」
という質問に。これですかねえ、と指さしていくと候補が定まったらしく、虫が判明しないと薬も決まらないそうで検査しますと。要するに検便をするのだが、ふだん健康診断で入れるマッチ箱サイズのやつじゃなく
「この容器に入れてください」
と配られたのは、機内食のアイスクリームぐらいの容器。もう不安なのでなみなみ入れて、1週間結果を待つわけだけど、これが生き地獄で、意識すればするほど、お尻に何かがいる気がする
「寄生虫だって?大変だな!」
職業柄、デリケートな話を面白い方向にもっていこうとするのか何なのか、上司が大きな声で話しかけてくるので、アナ雪のエルサじゃないが、もうみんな知ってしまった、と開き直って職場で話したものの、心なしか距離を感じる、そりゃそうだ。とにかく精神的に極限状態ななかで出勤して1週間後、大学病院へ行った
「何の寄生虫か分かりませんでした」
医者の言っている意味が分からない。1月にミャンマーに行ったから、変なやつをもらった可能性はあるとしても、先生ここ大学病院でしょう、そんなこと言わないでください、頭がおかしくなりそうなんですよ、って涙目で話したら
「国立感染症研究所に診てもらいましょう」
今度は虫だけを容器に入れてくださいと言われ、多目的トイレで、割りばしを使って小一時間さがすことに。正気を保つために(日本はお箸の国だけど、欧米ではどうするのだろう)みたいなことを考えながら、割りばしで虫をつまもうとすると逃げるんだこれが
とにかく、自分のお腹に得体のしれない、大学病院でも分からないような虫がいる、というのがおそろしい。国立感染症研究所って野口英世とかが研究してたらしいじゃないか。そんな施設に運ばれるものを飼っているのか、と考えると寝れない
「もしかして死ぬのではないか」
先日ついに30歳になり、見たいものは人生で見て来られたような達成感もあったのだが、虫が脳に行くとヤバい、とネットの文章を見た途端、やり残したことがいろいろ浮かんで、週末に夜行寝台に飛び乗ったのだけど、行き先が高松だったわけだ
「うどん県にようこそ」
きっぷを買った時には想定していなかったことで、おかしくなりそうになるけど、江国滋の”おい癌め酌みかわそうぜ秋の酒”を思い出して、どうせなら景気づけに食らおうと、メニューのカレーうどんのページを避けながら、別のうどんを頼んで、結果的にこれがすごく美味しかった
検査の結果、脳に行くものではないと分かったので安心したのだが、入院して治療しないといけないらしい。ウ○コにいるのは子どもでしかなく、親玉が腸管にいるらしい
「連休明けに入院できますか?」
と医者に提案されたけど、3か月で5メートルになることもあり、中途半端にちぎれると1匹が2匹になるらしく、ミャンマー由来だとすれば、もう4か月経っていて、さらに10日間も放置できないのでGW中に駆除してもらうことに
そんなわけで、食事をおさえて胃腸に虫しかいない状態にして、下剤と駆除剤を飲むのだそうです、平成のうちにからっぽにしたい、いや本当に
0コメント